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本と、夜の考えごと

嫌われる勇気

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

アドラー心理学入門

この本のタイトルは「嫌われる勇気」ですが、
それは内容の一部であって、「嫌われる勇気」が論点の本ではありません。
簡潔に言って「アドラー心理学入門」です。

さて、前回の記事で7つの習慣について書きましたが、
7つの習慣はアドラー心理学の考え方が基となっています。

心理学といえばユングフロイトが有名ですが
アルフレッド・アドラーは知名度が低いですね。
私もよく知りませんでした。
(かといってユングフロイトについてよく知ってるわけでもないのですが・・・

ともかく、アドラー心理学は他の心理学に比べ
この行動の原理はこういう心理だ、という分析・理解の心理学ではなく
心理学を用いて人生の捉え方を変え、
どう切り開くか、という能動的な心理学だと理解しています。
「個人心理学」という分野になるそうです。

本書は、対話形式でアドラー心理学を解説しているので
非常に読みやすくおすすめ。
トラウマを抱えた方にもおすすめ。

目的論

いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。
われわれは自分の経験によるショック‐いわゆるトラウマ‐に苦しむのではなく、
経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。
自分の経験によって決定されるのではなく、
経験に与える意味によって自らを決定するのである。

アドラー心理学の醍醐味、
「原因論」ではなく「目的論」。
トラウマを否定するものです。

例えば両親が離婚したから私は上手く家庭を築くことが出来ないと考えているとします。
目的論では、常になにかしらの「目的」があるので、
上手く家庭を築けない、ことを目的として
両親の離婚を原因にこじつけている、ということです。(極端に言えば

いまのあなたが不幸なのは
自らの手で「不幸であること」を選んだからなのです

とあるように、自分が不幸だ、変わらない、と思うのは
「不幸である」「変わらない」という決心を繰り返し続けているから。
反応を選択するのは全て自分自身である、というものですね。

私もよく失敗に対する不安や恐れから、
元々こういう性格だから、こんな過去があるから上手くいかないのだ、と
ネガティブな意識づけをしてしまっていることが多々あります。
失敗するのが恐いから逃げに入っているのですね。

「変わる勇気」には覚悟が要ります・・・。
でも、「変わる勇気」さえあれば。

共同体感覚

アドラー心理学において理解が難しく奥が深そうな論点が
「共同体感覚」です。

国家や人類などを包括したすべてであり、
時間軸については過去から未来までも含まれるし、
さらには動植物や無生物までも含まれる

過去未来宇宙、とにかくすべてが「共同体」ということなのですが、
アドラー自身「到達できない理想」だと述べているのだとか。

しかしこの共同体感覚、面白そうなのです。
この果てしなく大きな共同体への所属感を得ることが出来たら
どんな苦難があろうともしっかりと大地を踏みしめて生きていけそうな気がします。
神やあらゆる宗教よりも遥かに大きな無限大感覚、
これはゆっくりと理解していきたいなあと思います。

ほめてはいけない

ほめてはいけないし、叱ってもいけない

ほめるという行為には
「能力のある人が、能力のない人に下す評価」
という側面が含まれているというもの。

「すごいね」「よくできたね」ということで
自分よりも能力の劣る相手を操作している。。
アドラー心理学では上司と部下、親と子どもであっても

あらゆる「縦の関係」を否定し、
すべての対人関係を「横の関係」とすること

とあります。
叱ってはいけない、とはよく聞きますがほめてもいけないとは!
ほめられることによって、「自分には能力がない」という信念を形成していくのだとか。
ほめるって恐ろしい・・・
ではどうすればいいのでしょう。

他者を評価せず、感謝すること。
しかも「行為」レベルでなく「存在」レベルで感謝する。
もちろん上辺でなく心から「存在」レベルで素直に感謝すること。

横の関係に基づく援助のことを、
アドラー心理学では「勇気づけ」と呼んでいます。

「勇気づけ」、難しいですね。「存在」レベルで感謝。
そしてこの「横の関係」の対人関係を築くのが重要なのですが、
家族に対しては横の関係、後輩に対しては縦の関係、などと使い分けることはできないのだそうです。

誰かひとりでも縦の関係を築いているとしたら、
あなたは自分でも気づかないうちに、
あらゆる対人関係を「縦」で捉えているのです


「横の関係」を築けている方は稀だと思います。

誰かが始めなければならない。
他の人が協力的でないとしても、それはあなたに関係ない。
わたしの助言はこうだ。
あなたが始めるべきだ。
他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく。

と、アドラーが述べていますが、その通りですね。
心に刻まなければ。

アドラー心理学の行動指標

行動面の目標

 ①自立すること

 ②社会と調和して暮らせること



この行動を支える心理面の目標
 ①わたしには能力がある、という意識

 ②人々はわたしの仲間である、という意識

指標です。

ところで、このアドラー心理学、ほんとうに理解して生き方まで変えるには
「それまで生きてきた年数の半分」が必要になる、と言われているのだそうです。
それだけ大きな思考転換ということですね。

「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てよ

人生最大の嘘は「いま、ここ」を生きないこと。
過去にとらわれないのは分かりますが、未来にぼんやりスポットライトを当てることも
今を生きていないことになると書かれています。
今、生きているのは「今」であって、未来は未来の「今」ですからね。

最後に

世界とは、「わたし」によってしか変わりえない。


アドラー心理学、メモしておきたいことが多く長くなりました。
大変、深いです。
それでは、おやすみなさい。