晝は夢 夜ぞうつつ

本と、夜の考えごと

covid-19night

night


1日家で猫と過ごして
暗くなってから
本日初めての外出

徒歩3分のコンビニ
着替える労力が惜しい

空を見上げてしまうのは
ずっと前からの癖だ


目を疑うほど
夜空が綺麗だった

思わずマスクを外して
そっと息を吸う


いつもこのくらい静かで
夜空が綺麗ならいいのに

東京都心に住み始めて
こんなに星がくっきり見えたのは
初めてかも知れない

皮肉だなと思う


この世に誰も居なかったら
夜空は信じられないくらい
綺麗なんだと思うけど


weekend

お昼過ぎまで眠って
カーテンを開けて洗濯物を干す

そのあとまたベッドに潜り込み
夜まで何度も眠って過ごす

週末の昼は夢の中にいたい


誰かのことも
自分のことも
世界のことも

考えたくなんかない


ただじっと耐える

週末の昼の光が去るのを
息を潜めて待つ


別に予定はないのに
わざわざ友達の誘いを断った1日に
特に何もしなかった1日に

夜風はいつも冷たい


よくわからない申し訳なさを
小脇に抱えながら
道の端を歩く


そういう気持ちがいつもあった

art

観たい美術館の展示が
来週までだなあとか

でも来週末もきっと
ほとんどをベッドの中で過ごすから

観たい美術館の展示が
わたしの目に触れることはないんだなあとか

そういうことに
非常につかれていた


達成されることのない
やりたいことリストを
日々更新させられる毎日に

山手線内の車内広告が
ムービー化された辺りで

もう

ほとほとくたびれ果てていた

entertainment

エンターテインメントの
圧力がこわい

エンターテインメントなんて
どこかへ行ってしまえばいいのに


何も堪能しないのは
無価値な時間の刻印を押される様で


経済活動をしないで
ベッドの中でうずくまるわたしを

見下す彼の瞳に
どうしたらいいのか

申し訳なさを抱える意味に
耐えられずにいた


わたしはただ

体温であたためられた
ベッドのあたたかさと
猫の腹のあたたかさを
行ったり来たりするのとか

そういうことがしたかったのに

そういう人に人権はないということらしい

covid-19

映画もファッションもカフェも
合コンも飲み会もキャバクラもなし

快晴の空の下
犬連れがぽつり

地球の生活みたいだなと思った


スタンダードのレベルが
著しく下がったのは
この1週間ちょっと


ステイホームが正義らしい

息を潜めて
部屋の中で
留まっているのがいいらしい


これまで感じていた
申し訳なさは一体なんだったんだろうと思った


経済活動も
エンタータインメントも

あってもなくても
わたしは眠るし
あなたは息をする


それだけ証明できたね
covid-19

reason

猫とベッドとポテトチップス
それだけでしあわせって言ってるんだから

息をする意味は
永遠に問わないでね


生きてるだけに文句言われない

ウイルスばら撒かなければ
白い目で見られない

1日パジャマ姿に文句言われない
着替えていく場所もないのだから


君だってそうだよ


すやすや眠っていたらよしよし

もうその公式だけでじゅうぶん