対岸のシンクロ
特定の人物と会うと必ず起きる現象。
その中に居る時、いつも思い出す。
だけどその中から外れると、
いつかどこかで読んだエッセイの様に現実味がない。
それはいくつもパターンがあって、
だけどどれも、また帰ってきたいという感覚が残る。
人ではなくても、
場所や匂い、店や食べ物など
「はっ」とする瞬間がないか。
それは一方通行でありながら、
感じ取った瞬間に共有される何かがあり、
ストーリーが繋がった後に
突然想起したりするものだ。
人は生まれる時も死ぬ時も孤独。
生きている今も、誰と居ても孤独。
そんな当たり前な事を内包出来ずに、
孤独を対岸の火事にしてしまっている。
対岸に居るはずの誰かと目があった時。
背中が突然熱くなる。
火花が目の前を通過する。
振り返って叫ぶともうそこには居ない。
孤独に気づくのは
いつも誰かと目があった時なんだ。
ため息をついても
果たして自分がどんな顔をしているか分からない。
いつも君を対岸に残すからだと知りながら、
「もどかしい」と敢えて声に出す。