Sleep
『three』
とある朝、
目が覚めて活動しているが
ふと目を擦ろうとした時、
瞼が閉じている事に気づいた。
混乱。
今まで見ていた景色は瞼の裏の映画だったのか?
脳内の妄想か?
頑なに閉じている瞼を
力づくでこじ開けると
もう一度ベッドの上で目が覚める。
エスケープ。
安堵感があるが、疑いは晴れない。
恐る恐る瞼へ手を伸ばす。
瞼は開いていた。
目に映る景色を見ている。
起きている。
だが、体を動かそうとするが何となく重い。
瞼はキーではないのだ。
一度発見した出口はその世界でしか通用しない。
また見つけたキーは一度きり。
トリップ。
目が覚めた世界はどこかの夢。
夢から夢へのトリップ。
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『two』
現実は味気なくつまらないから、
夢を描き、夢へ進むなどと言うが
そもそも夢の中にいる事に気づくのは
最大の恐怖なのだ。
夢は叶えるもので
すべてが夢であったら
何もかも信じられなくなってしまう。
本当に目が覚めたら、
もう二度とエスケープできない。
本当に目を覚ますということを
想像することができるだろうか。
夢を受け入れる事も
夢でない事を受け入れる事も
我々の認知の浅さでは
到底できないという事を
如何にして受け入れようか。
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『one』
まだ見ぬ宇宙の先を目指すのは大抵が男で
目の前の男に愛を信じ込めるのは大抵が女だが
宇宙の先には到達できないし
宇宙の先が夢だということをを受け入れられず
「少年の心」などと正当化していくだけである。
目の前の男は大抵女の頭を撫でながら
宇宙の先に想いを馳せているだけで
宇宙の果てに連れて行ってくれることは永遠にない。
だけど夢だから。
闇へ投げた宇宙人へのレターは
不思議な暗号として返ってきて、
真実の発見が解き明かされてゆく。
本当に愛した男は
突然雨に濡れて薔薇を抱えて永遠の愛を誓い、
ここでない場所へ手を引く。
それは泡沫だから。
Sleepingだけど
じゃなくて、
Sleepingだから。